認定NPO法人 NPO会計税務専門家ネットワーク

menu

NPO法人の税務

質問内容

Q消費税の計算における補助金の取扱い(特定収入の判断と補助金の収入の日について)

質問者:NH  投稿日:2023.09.04  記事番号:090423105900000001

弊法人では、この10月からインボイス対応として消費税課税事業者となります。
このため、国税庁の「国、地方公共団体や公共・公益法人等と消費税(令和5年6月)」 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/shohizei.htm を参考として処理方法を検討中ですが、いくつか分からない点があったのでご質問いたします。

(前提条件)
地方自治体(A市とします)から、年170万円の事業補助金を受けています。
補助事業の期間は4/1〜翌年3/31で、毎年4/1に交付決定、8月頃に概算払い、翌年3/31日付で確定通知を受けています。
確定通知には、おおよその支出内容(人件費 x円、○○事業費 x円……)と金額の明細があります。
また、補助事業報告と同時に提出する補助金収支計算書(決算書)では、明細として、確定通知のおおよその支出内容のうちの具体的な消費税額(人件費x円,うち消費税0円、○○事業費x円、うち消費税y円……)と明示し、領収書のコピーを添付して報告しています。

なお、会計上、人件費については消費税非課税の謝金、旅費については消費税非課税の旅費交通費として仕訳しています。


そこでご質問いたします。
1.補助金の収入の日(収益認識をする日)はこれまで3/31としていましたが、10/1に消費税課税事業者となる場合でも、このままでよいでしょうか?

2.補助金の使途を特定するのに、A市からの確定通知文書を提出しようと思っていますが、前述のとおり確定通知には課税仕入非課税仕入の別の記載がありません。
この場合でも、A市からの確定通知のみで補助金の使途を確定することができるのでしょうか?(このほかに弊法人がA市に提出した補助金収支計算書の写し等を提出する必要があるのでしょうか?)

3.特定収入の範囲についてですが、「法令または交付要綱等において、次に掲げる支出以外の支出のためにのみ使用することとされている収入
イ)課税仕入れに係る支払対価の額に係る支出
ロ)特定課税仕入れに係る支払対価の額に係る支出
ハ)課税貨物の引取価額に係る支出
ニ)通常の借入金等の返済金又は償還金に係る支出」とあります。

弊法人の場合、消費税を支払った(消費税課税として経理した)補助事業経費については、イに該当するため特定収入となり、消費税を支払っていない(消費税非課税として経理した)補助事業経費はイ〜ニのいずれにも該当しないため特定収入から除外する、と判断してよいのでしょうか?

お忙しいところお手数ですが、また、長文となり恐縮ですがご回答いただけますと幸いです。

回答する

役に立った

0人の方の役に立ちました

回答内容

A1

回答者:musashi  投稿日:2023.09.06  記事番号:090623105910000003

ご質問について、私見ですが 回答させていただきます。

〇補助金の収入の日(収益認識をする日)はこれまで3/31としていましたが、10/1に消費税課税事業者となる場合でも、このままでよいでしょうか?

→補助金の収入すべき権利が確定した日は、3/31のようなので 消費税の課税事業者であるか否かに関わらず、従来どおりの取り扱いで差し支えないと思います。

〇補助金の使途を特定するのに、A市からの確定通知文書を提出しようと思っていますが、前述のとおり確定通知には課税仕入非課税仕入の別の記載がありません。
この場合でも、A市からの確定通知のみで補助金の使途を確定することができるのでしょうか?(このほかに弊法人がA市に提出した補助金収支計算書の写し等を提出する必要があるのでしょうか?)

→補助金の使途確定資料ですが、使途を勘定科目によって区分できればよく、課税仕入れかどうかまでは求めていない(行政側もおそらく出せない)と思っています。この場合、人件費の中に通勤交通費が含まれているなど、勘定科目だけでは判断がつかない場合は、法人の方で別に内訳を記載した計算資料を添付されてはいかがでしょうか。

〇特定収入の範囲についてですが、「法令または交付要綱等において、次に掲げる支出以外の支出のためにのみ使用することとされている収入
イ)課税仕入れに係る支払対価の額に係る支出
ロ)特定課税仕入れに係る支払対価の額に係る支出
ハ)課税貨物の引取価額に係る支出
ニ)通常の借入金等の返済金又は償還金に係る支出」とあります。

→記載(表現)が間違っていると思います。この記載は「特定支出」の記載であり、特定支出に充てられる補助金は、特定収入から除外できます。

〇弊法人の場合、消費税を支払った(消費税課税として経理した)補助事業経費については、イに該当するため特定収入となり、消費税を支払っていない(消費税非課税として経理した)補助事業経費はイ〜ニのいずれにも該当しないため特定収入から除外する、と判断してよいのでしょうか?

→事業年度の途中で課税事業者となるため、10月1日以降の課税仕入れに充てられた補助金のみを特定収入として、特定収入割合を計算するという方法が、一番現実的ではないでしょうか(おそらくご質問の趣旨どおり)。
 この場合、特定収入割合が5%以下であれば 調整計算が不要となります。

 しかし、ご質問中の「消費税非課税の謝金」、「旅費については消費税非課税の旅費交通費」というのが気になっています。
 一般的に、講師謝金や旅費交通費(通勤手当を含む)は、雇用関係のある方への賃金ではないので、特定支出には当たらず、その支出に補助金が充てられているのであれば、特定収入となるのではないでしょうか。

参考になれば 幸いです

A2

回答者:NH  投稿日:2023.09.06  記事番号:090623105920000003

お忙しい中ご回答ありがとうございます。

この質問の中で、いちばん迷っている(困っている)のは「特定支出」の判断で、質問にも記載したイ〜ニの4条件いずれにも該当しない支出はすべて特定支出と判断してよいのか、つまり、課税仕入としていない支出は特定支出とできるのか、それとも仕訳(科目)にもとづいて判断するのか、ということでした。

なお、補助金で諸謝金として経理しているものは、講師謝金や企画料(業務委託と言えるもの)と、ボランティアへの謝金が含まれています。(これは前任者が採用した仕訳を継続しています。)
旅費交通費については全額ボランティアへの旅費です。

この機会に、これまで諸謝金としていたボランティアへの謝金を雑給として仕訳すれば人件費として明確になり、特定支出であると言い切れるのかな、とも思いました。

A3

回答者:musashi  投稿日:2023.09.07  記事番号:090723105940000004

再質問 拝見いたしました。私見ですが 回答させていただきます。

〇つまり、課税仕入としていない支出は特定支出とできるのか、それとも仕訳(科目)にもとづいて判断するのか、ということでした。

→特定収入の計算は、あくまでも消費税の計算過程での調整計算であり、補助金など対価性のない収入で賄われた仕入税額控除は認めない(補助金と仕入税額控除という両方の恩恵は「濡れ手に粟」)という考えに基づいたものです。

 例えば、補助金の使途が給与手当勘定とした場合、一旦は特定支出(特定収入以外)になそうですが、もし、その中に通勤手当が入っていて仕入税額控除の対象とした場合は、調整計算誤りとなります。
 この場合、①通勤手当以外の補助金=特定収入以外 ②通勤手当の補助金=特定収入 として計算すべきと思っています。

 つまり、特定収入の調整計算は、補助金などで賄われた仕入控除税額を排除するための計算なので、勘定科目ではなく仕入税額控除として、いくらが反映されているのかが、重要かと考えます。
 なお、インボイス制度が導入されると、補助金から一体いくら仕入税額控除の対象としたかを個別に把握せざるを得ないと思っているので、原則計算は余計に頭が痛くなりそうです。