質問者:はじめてNPO法人経理担当 投稿日:2025.05.23 記事番号:052325107350000005
昨年8月に法人登記を終え、本年1月より医療保険業(訪問看護認可1月)の収益事業を開始し税務署へ開始届(青色申告・非課税)を提出しています。
現在事業はこの収益事業のみです。
今期会計期は8月~翌3月末で、初めての決算、確定申告、(事業報告書等の提出)で、戸惑うことばかりです。
ご指導どうぞ宜しくお願いします。
▶【法人税の処理についてお尋ねします。】
今期赤字決算なので、法人住民税(均等割)のみを決算仕訳で計上になると思います。
①法人県民税(均等割8月から1月分:8,700円・1月から3月は0円)
②法人市民税(均等割2月から3月分10,000円(60,000×2/12ヶ月):収益事業のみ)
NPO法人会計基準により、
部門別に同じ[法人税・住民税及び事業税]勘定科目で、
①の仕訳
[【管】法人税・住民税及び事業税 8,700円] <管理部門>
②の仕訳
「【事】法人税・住民税及び事業税/未払法人税等 10,000円] <収益事業部門>
と計上したところ、
「活動計算書」
[税引前当期正味財産増減額]▲1,000,000円
[法人税・住民税及び事業税]18,700円
[当期正味財産増減額]▲1,018,700円
「財務諸表の注記の」収益部門の収支
[公租公課] 0円(収益事業) 0円(管理部門) 0円(合計)
となります。
この仕訳で作成した財務諸表「活動計算書」「財務諸表の注記」等で、
収益部門についてのみの確定申告をしようと思うと、
管理部門の法人税も含めた18,700円を損金として計上することとなります。
10,000円のみを損金として計上する為、
管理部門での仕訳を、
【管】法人税・住民税及び事業税 ⇒ 【管】公租公課
とし、
①の仕訳
[【管】公租公課/未払法人税等 8,700円] <管理部門>
②の仕訳
「【事】法人税・住民税及び事業税/未払法人税等 10,000円] <収益事業部門>
とすることで、
「活動計算書」
[税引前当期正味財産増減額]▲1,008,700円
[法人税・住民税及び事業税]10,000円
[当期正味財産増減額]▲1,018,700円
「財務諸表の注記の」収益部門の収支
[公租公課] 0円(収益事業) 8,700円(管理部門) 8,700(合計)
となり確定申告もこの数字で進める気がします。
▶【そこで質問です】
管理部門の[法人税・住民税及び事業税]8,700円を[公租公課]勘定で処理して構わないでしょうか。
使用している会計ソフトの仕様によるのかも知れません。
また、本来の正しい仕訳方法、考え方もお教え願います。
説明がうまくできず長くなり申し訳ありません、伝わりましたでしょうか。
回答どうぞ宜しくお願いします。
回答者:岩永 淸滋 投稿日:2025.05.23 記事番号:052325107360000005
NPO法人会計基準には重要性の原則というのがあって、重要なものは原則通り行なうが僅少で重要性が少ないものは簡便な方法でかまわないことになってしいます。したがって「法人税・住民税及び事業税」という科目を使わず「公租公課」などの費用科目で処理してもかまいません。法人税が発生した場合は通常金額も大きくなると予想されますが、住民税だけならば簡便な方法でかまいません。
ところでご質問者さんは県民税と市民税とを分けて考えておられますが、通常この二つをまとめて「住民税」といいますので分ける意味はありません。またそれぞれの月数が異なっていますが、これも通常は一致するものです。このあたりの具体的な事情がわかりませんし、また地方公共団体ごとに取扱が異なる場合もありますので断定的なことは申せませんが、一般的には住民税は収益事業を行なっている場合にのみ課税され、そうでない場合は減免申請をすればかからないことが多いです。いずれにしても期の途中から開始した当年度だけに関係する話なので、あまり真剣に考える必要もないのかもしれません。
それよりも上記活動計算書の100万円という赤字は全体のものであり、今はこの収益事業しか行なっていないという整理ですからご質問者さんの処理でいいようですが、今後寄付金をもらったり、会費をもらったり、また別の特定非営利活動を行なうようになると、収益事業と非収益事業とを分ける必要があり、法人税の申告はあくまで収益事業の部分だけになりますから、そのあたりの会計をどう区分するのかが重要になります。また今のままでも総会や理事会にかかる費用があったとすると、それは収益事業だけにかかわることではなく、法人運営の基礎となる部分ですから、収益事業だけにかかる管理費とは言えないことになります。
こんな話をすると余計ややこしくなるかもしれませんが、今後の検討課題として考えておいて下さい。