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NPO法人の税務

質問内容

Q後見事業は収益事業に該当しますか?

質問者:NPOの会計担当  投稿日:2020.04.26  記事番号:042620104030000007

法人で後見を受任し、他に後見制度の勉強会等を開催しているNPOで、主な収入源は後見報酬です。昨年見守り契約や死後事務委任契約を締結し、今年の監査でこれらは請負業にあたるとの指摘がありました。またその話の中で、法定後見についても収益事業に該当するのではないかとの話があり、相談させて頂きました。
法定後見は受任も報酬も全て家庭裁判所が決定するので、営業することも交渉することもできません。また、報酬額は被後見人の財産状況により決定されることから、財産の殆ど無い方の報酬もまた殆どありません。また、受任して直ぐに亡くなる方もいますが、報酬の対象となる活動は亡くなるまでと決まっていることから、そういう方の受任があると赤字となります。
昨年度の見守り契約等は収支赤字でしたが請負業に該当するのであれば、地方税の減免申請もできないと考えていますが、法定後見事業について、昨年度までは幸い黒字となっていましたが、今年度は受任案件が減ったことから赤字になるのではないかと懸念しています。
任意後見契約は収益事業になると思いますが、契約に依らない法定後見の受任も収益事業に該当するのでしょうか?
ご回答よろしくお願いいたします。

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回答内容

A1

回答者:岩永清滋  投稿日:2020.04.28  記事番号:042820104040000002

公認会計士の岩永と申します。
お尋ねの件は明確に書いたものはないのですが、法人税法上の収益事業には純粋の請負契約だけではなく委任契約による対価も含まれますので、現在の法令を前提とすれば収益事業に該当すると思われます。特に成年後見を非課税とするような規定はありません。
法人後見ではなく個人の後見の場合は、雑所得として課税されます。この点は課税庁の取扱いが明示されています。
「成年後見人が受領した報酬に係る収入金額の収入すべき時期について」
https://www.nta.go.jp/about/organization/nagoya/bunshokaito/shotoku/150122/01.htm#besshi1
課税の時期は実際に従事したときではなく、家庭裁判所の報酬付与の審判の告知が出たときであるとされています。
おっしゃるように、仮に赤字であり収益事業として法人税が課税されない場合であっても、地方税の減免がなされず均等割りが発生する恐れがあります。このあたりは地方公共団体により取り扱いが異なります。
NPO法人の場合は、この成年後見事業は当然本来の特定非営利活動だとは思いますが、法人税法の上では特定非営利活動か否かの区別はないので課税扱いになるでしょう。ただ公益社団法人などの場合は、公益目的事業であれば非課税となる特別の取扱いがあるので良いのですが、残念ながらNPO法人にはそのような取り扱いがありません。