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報告・経緯

体験談内容

不認定の内示をもらいました

体験者:元認定NPO法人二十一世紀協会  投稿日:2014.02.22  記事番号:022214101970000006

国税庁の元、2002年から2013年まで11年間認定NPO法人でした。その間、国税の調査が何度もあり、4回の再申請もすべて問題なく通っています。
今回、所轄が国税から東京都に移ったのに伴い、認定の切れる半年前から準備して申請しましたが、1年を経過した現在もまだ正式な審査結果が出ていません。
何度も何度も催促した結果、不認定の方向で内部出手続きを進めているとのこと。主な理由は当方が人材不足を理由に複式簿記を拒否したからです。適当に東京都に話を合わせてそれらしき形式を整えることも可能ですが、東京都でさえ複式簿記に移行したのがつい最近であること、霞ヶ関の省庁のほとんどがいまだに単式であることなどから、複式簿記をNPOに強要し、それを拒否したことを理由に不認定にされるのは理にかなわないと拒否しました。

*申請より1年経過しても結果が出ない
*複式簿記でないと認定をしない

この2点につき、東京都のやり方に大いに疑問を感じます。また、東京都の会計への立ち入り方は国税ではあり得ないほどの細かさで、NPO法人の自主性に対して干渉する姿勢も見られました。普通の認証NPOでも複式簿記を備えないと認証できない方向だとも言われ、このような環境の中で法人として継続していくことさえ疑問を持ち、今回のことを契機に法人解散も視野に入れています。

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感想内容

感想1

回答者:脇坂誠也  投稿日:2014.02.26  記事番号:022614101980000003

ご報告ありがとうございます。

お気持ち察します。

私もつい最近、あるNPO法人から、所轄庁の調査で認定申請の取り下げを奨励され、納得できないというご相談を受け、団体と相談したうえで意見書を提出しました。

不認定になった場合には、団体は異議申し立てをするつもりでいます。

(不認定になった場合には、行政不服審判所に異議申し立てをする制度があります)

認定機関が国税庁から所轄庁に移ってもうすぐ2年になります。

貴法人は認定制度ができてかなり初期の段階で国税庁の認定を受けられたようですね。

私は初期の話はそれほどよく知っているわけではありませんが、国税局(実際に調査をするのは、全国にある国税局でした)も最初のころはかなり無茶な調査をしていた話をたくさん聞きました。

国税時代の最後の方は、私も当時の東京都の担当官とよく話をしたりしましたが、NPOのことをよく理解しようとし、調査の手法もだいぶ練れてきたように思います。

私は制度導入の初期段階では、お互いに手探りですので、変な話がいっぱいでてくるのはある意味では仕方がないのかな、という思いもあります(当事者はたまったものではありませんが)。

認定要件について、条文は担当者も見ているでしょうが、その意味するところは何なのか、突き詰めて考えていないと思われることもあるように思います。

貴法人が今回直面している「複式簿記でないと認定をしない」という要件について、もう少し正確に見ていくと、

「法人税法施行規則第53条から59条までの規定に準じて帳簿及び書類を備え付けてこれらにその取引を記録し、かつ、当該帳簿及び書類を保存していること」

という要件です。

法人税法施行規則第53条から59条の内容は以下からとれます。

http://www.gyosei.co.jp/home/pickup/3180019/zeiroku_horei/a330030001.html

53条にも「複式簿記」という言葉は出てくるのですが、実は「複式簿記とはなんなのか」ということは、意外と難しく、少なくともNPO法で収支計算書を認められている状況で、損益計算書型の発生主義の会計にしなくてはいけないということを意味しているわけではありません。

私はここで重要なのは、54条と55条ででてくる「仕訳帳」と「総勘定元帳」の作成が求められているというところであり、この2つの帳簿があるということ(それを裏付ける領収書等の資料がある)ということがこの要件のポイントになるのではないか、と考えています。

第3表付表2で帳簿の記載状況などを記入する欄があるのはご存じのところと思います。

仕訳帳とは、現金出納帳や預金出納帳、入出金伝票などのことで、これがないということは、通常ありえないのではないかと思います。

問題は「総勘定元帳」で、これは、各勘定科目の金額について、それが何月何日にいくら発生したのか・・・ということについての明細です。

この総勘定元帳が出せないとすると、この要件を満たしていないとされるのは、致し方ないのではないかと考えます。

決算書に記載されている金額がどのような経緯ででてきたのかを示す帳簿がないということになりますので。

もしかしたら、エクセルで帳簿などをつけていらっしゃるのかもしれませんが
そうすると、総勘定元帳に相当する帳簿が存在しないということなのかもしれません。

ただ、エクセルで帳簿をつけていれば、エクセルのソート機能などを使って、総勘定元帳に相当する帳簿を作成することはそれほど難しいことではないように思います。

仕訳帳(現金出納帳や預金出納帳)と総勘定元帳は明示できるけれども
それでも複式簿記ではないからダメだ(発生主義でないからダメという意味?)というのであれば、争うべきだと思います。

私見ですが、述べさせていただきました。

よろしくお願いします。

感想2

回答者:21世紀協会 池田晶子  投稿日:2014.03.27  記事番号:032714102030000004

脇坂様、

ご丁寧な解説感謝します。

掲記不認定の正式書類が届きました。
理由は以下の通りです。

(認定しない理由)
本件申請は、次の点から法第45条に規定する認定基準に適合するとは認められない。
1 法第45条第1項第3号ハの規定に基づき内閣府令で定めるところによるとされ、内閣府令第20条の規定に基づき準じて行うこととされる法人税法施行規則(昭和40年大蔵省令第12号)第53条の規定により、決算は、「その資産、負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引につき、複式簿記の原則に従い、整然と、かつ、明りょうに記録し、その記録に基づいて決算を行なわなければならない。」とされる基準について
(1)実績判定期間において、単式簿記による帳簿の記録及びその記録に基づいた決算が行われ
ている。
(2)平成22年度の寄附金収入の一部について、帳簿に記録されていない取引がある。
また、平成22年度の雑費の金額について、検証可能な証拠に基づいた帳簿の記録であると判断できない。
(3)平成23年度の収支計算書において、数値の合計が一致していないまま決算されているため、計算書類及び財産目録の数値にういて、正確な数値であることが確認できず、財政状況に関する真実な内容を明瞭に表示したものとは認められない。
以上により、法第44条第3項に定める実績判定期間においてその資産、負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引につき、複式簿記の原則に従い、整然と、かつ、明りょうに記録し、その記録に基づいて決算が行われているとは言えず、法第45条第1項第3号ハの基準に適合するとは認められない。
2 法第45条第1項第7号の規定により、法令等に違反する事実がないこととされる基準について法第23条第1項の規定に基づき、役員の変更等があつた場合には、遅滞なく、その旨を所轄庁に届け出なければならないとされているが、平成14年度及び平成24年度の役員の変更等届出書が所轄庁へ届け出されていない。
このことは、法第23条第1項に抵触する。

といったものです。

当方複式簿記ではありませんが、勘定科目を明記して金の出入りを記録しており(発生主義です)、ミスや稚拙な部分はあるものの、一般的に見てここで言われるほどひどく、悪意の隠蔽の感じられる帳簿ではないと考えます。(そもそも隠すほどの収入はありません)
先日、長年企業の経理をやってきた知人(NPO会計についての知識はない)に東京都からきた会計に関する質問状を分析していただいたのですが、東京都の集計ミスが複数箇所に渡り、上記理由の中にも東京都の勘違いのままの物が含まれていると思われます。
当方に記帳ミスや計算ミスがあったことは事実ですし、決算において数万円の齟齬があったこともたしかです。しかし、一般企業においてもこの程度のミスはあるとのことで、決算をやり直すほど重篤なミスではないとの見解でした。

東京都は1年も審査を引っ張った上で、複式簿記でないことを理由に不認定を出すのは不当ではないかと考えます。複式帳簿でないことは最初からわかっているので、すぐに不認定にできるはず)
役員の変更届を1回失念したことまでが不認定の理由としてあげられているのは少々あきれます。通常そのような軽微なミスは後日届けを出せば済むものです。
担当者の話では、複式簿記をつけていない、役員の変更届を怠った(認証から15年の間で1回だけです)ことは認定どころか、認証取り消しにも該当するとのことです。この発言は行き過ぎであろうと思われますし、官による民への介入を強化しようという意図が読み取れます。

今後どのように対応するかは考え中ですが、何らかの形で公開の抗議はしなければならないとは思っています。
アドバイスなどあればぜひお願いします。

感想3

回答者:脇坂誠也  投稿日:2014.04.07  記事番号:040714102050000001

池田様

ご報告ありがとうございます。

手続きとしては、行政不服審判所への異議申し立てということになるかと思います。

http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/gyoukan/kanri/q_and_a.html

私も実際の手続きをしたことはありませんので詳しいことはわかりません。

もしそれでも不服があれば、裁判ということになります。

私はこのことで最大の問題と思うのは、従来、国税局認定で何回も認定を受けていたにもかかわらず、同じ状況で、法律の条文が同じであるのに不認定になっているということです。

本来、同じ条文を行政庁が場合によって使い分けるようなことはあってはいけないことです。

100歩譲って、国税局から所轄庁に認定機関が変わったことで、条文の解釈がより厳しくなっているのだとすれば、それは事前に周知すべきことです。

新たに認定を受けようとする団体と、すでに国税庁の認定を受けた団体が再度認定を受けようとして受けられなかった時のダメージの違いをあまりに考慮していないとしか思えない感じがします。

「複式簿記でない」とおっしゃっているのがどの程度のものなのか、実際の帳簿を見ていないのでよくはわからないのですが、国税局も、あまりにひどい帳簿であれば認定していなかったと思いますけれど。