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NPO法人の税務

質問内容

Q源泉徴収された収入について

質問者:ホワイト  投稿日:2019.10.29  記事番号:102919103930000002

公的な仕事の関係上、団体としての契約はできず個人名での契約となり、源泉徴収が行われて個人名の銀行口座に支払いされる予定です。

これをNPOの収入として扱う場合、どのような会計処理になるのかを教えて貰いたいです。

また、源泉徴収分は、個人の確定申告で処理する形になるかと思いますが、個人収入側の処理は寄附という扱いになるのでしょうか?

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回答内容

A1

回答者:岩永清滋  投稿日:2019.11.07  記事番号:110719103940000004

ご質問のようなケースは時々見かけられます。本来は法人の収入とする場合は法人名で契約することが原則で、法人契約ならば源泉徴収されることもありません。極力そのような形にするべきです。ただどうしてもできない場合(契約の相手方が個人としかしないというような場合)は、いろんな考え方があります。例として10,000円の講演料として源泉税が1,021円の場合を想定します。手取りは8,979円です。

1.個人で確定申告をして源泉徴収されたものの還付申告を行い、手取りの方は法人に寄付をするという考え方です。この場合は法人の方では受取寄付金として8,979円を収益に計上します。個人の方は10,000円の申告を行い、1,021円の還付を受けます。寄付をした8,979円の方は法人が認定NPO法人でない限り控除を受けることはできません。

2.形式は個人収入だけれども、実質的には法人の収益なのだと主張することもできます。ただしこの場合は課税庁に対してそのことの真実性を証明するためにいろんな証拠をそろえておくことが必要です。法人と個人との覚書とか、仕方なく個人名での契約になった経緯だとかのことです。この時は法人の経理はあくまで受取寄付金ではなく講演料などの事業収益に計上します。ただ事業収益に計上できるのは8,979円だけになります。源泉徴収された1,021円の方は、あくまで法人の収益なのですから個人で還付申告はできません。この部分はあきらめるということになります。個人の方は仮に個人通帳などを介したとしても、預り金を支払っただけのことになり、個人の収益には計上しません。

3.この2のケースですと源泉徴収された1,021円をあきらめることになりますが、それを法人で直接還付してもらう方法もあります。ただしこの場合は、法人が収益事業の申告をしており、かつその講演料などが収益事業に属するものであるという条件が必要になります。このような条件があれば、法人の収益事業の法人税の申告の際に源泉徴収された1,021円を記載し法人が直接還付を受けることが可能になります。ただ課税庁の調査は余計に厳しくなりますから、各種の証拠資料をそろえておくことが必須となります。この処理の場合は、めでたく10,000円全額が法人の事業収益に計上されます。

 以上の話は、ご質問者の前提がこの講演料などはあくまで法人の収益なのだというお話にしたがっています。しかしながら似たようなケースであっても、法人の勤務の範囲外(例えば日曜日など)に、純粋に個人の資質を認められて行ったような講演料を法人に渡した場合は、上記の1の方法しか採用できません。その時のケースを吟味してください。