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NPO法人の税務

質問内容

Q各自が自宅で行うソフトウェアをNPOでダウンロード販売すると収益事業となるか

質問者:吹雪  投稿日:2021.07.25  記事番号:072521104780000007

障害者支援のNPO立ち上げを考えております。
その事業内容としてメンバーが各自の自宅で個人的に、または団体内での話し合いと作業分担によって作成したソフトウェアを、団体名義で販売しようと考えています。

このような事業は、収益事業として課税対象でしょうか?

<前提条件>
・障害者の生活を支援するソフトウェアを、障害者自らがNPOとして作成します。
・メンバーは各自の自宅で作業し、必要に応じてオンライン通話で連絡を取り合っています。
 これを「事業場を設けた」と言われるか否かが私には判断できません。
・販売はダウンロード販売であり、パッケージやディスクのようなものは存在しません。
 そのような場合にも、物品販売となるのでしょうか。
・メンバーは全員が身体障碍者ですが、売り上げが少ないので給与や作業費などの支払いはしません。売上金は団体の維持費や将来の発展に向けた資金、場合によっては会員相互の親睦などに使用する予定です。
 障害者が過半数であれば非課税とのルールもあるようですが、無報酬です。生活を支えているというような条文があることも考えると、これを根拠に非課税というのは厳しいでしょうか…。
・複数のソフトウェアを継続的に開発・販売するので継続性はあると考えています。



需要の少ないソフトウェアですので、均等割りが発生する場合にはそれを見越した価格設定にしなければ破産してしまうと思い、相談させて頂きました。

ご検討お願い致します。

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回答内容

A1

回答者:加藤俊也  投稿日:2021.07.27  記事番号:072721104790000002

作成したソフトウェアの著作権は法人に保有したままで、対価の支払いを受けて、ユーザーにソフトウェアの使用を許諾する、という仕組みではないかと考えて回答します。

税法上の収益事業として「その有する工業所有権その他の技術に関する権利又は著作権(出版権及び著作隣接権その他これに準ずるものを含む。)の譲渡又は提供」(以下、無体財産権提供業という。)(法人税施行令5条1項33号)が挙げられているので、この無体財産権提供業に該当するのではないかと思います。なお、収益事業としては、かなり後の1984 年に新設された点から、物品販売業や製造業には該当しないのではないか、と考えられます。

ただ、無体財産権提供業には、次の場合は、非課税とする規定があります(同号ハ)。
無体財産権提供業の売上高>(無体財産権提供業の費用+本来事業の費用)×50%
つまり、他に収益事業を行っていない場合は、ソフトウェアの売上高が、法人全体の費用の半分を超える場合は非課税となります。

また、この条件は、無体財産権提供業の利益>(本来事業の費用-無体財産権提供業の費用)×50%でもあるので、少なくとも、無体財産権提供業の利益>本来事業費用×50%であれば非課税となります。つまり、本来事業の費用の半分以上をソフトウェア事業の利益によって賄っている場合も、収益事業に該当せず、いずれも、法人税の申告納税は不要となります。
この非課税規定に該当するかどうかを検討されてはいかがでしょうか。

なお、インターネットに専用のサイトを作って販売する場合は、「事業場を設けている」と判断されるのではないか、と思います。

また、「障害者が過半数であれば非課税」という規定(法人税施行令5条2項2号)は、併せて「その事業が障害者の生活の保護に寄与している」ことの双方が条件となっているため、給与や作業費などの支払いがない場合には、適用されないのではないか、と思います。

A2

回答者:吹雪  投稿日:2021.07.29  記事番号:072921104810000004

ご回答ありがとうございます。
ご提示いただいた条文を確認し、問題なくこの条文の適用で収益事業でないということができそうです。

大変助かりました。ありがとうございました。