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NPO法人の税務

質問内容

QNPO決算会計における同一収入の2重計上について

質問者:飯沼一元  投稿日:2021.06.10  記事番号:061021104700000004

私は2005年に設立されたNPO世田谷桜丘まちづくりの会員です。
NPO世田谷桜丘まちづくり (sakura.ne.jp)

このたび書面総会開催(6月21日)案内が届きましたが、決算会計に関して質問します。
当NPOの収入の約2/3はリサイクル商品の売上です。
近隣の方が、街づくりの役に立てて欲しいと不要の商品を無償で寄付してくださいます。
1件当りの査定額(販売価格)は0~3000円で平均1000円程度です。
昨年度の年間総収入は350 万円、内リサイクルは230万円に対して、
今年度の総収入は970万円、内リサイクル事業は270万円、リサイクルの寄付金は270万円、補助金が390万円、その他40万円で対前年2.8倍です。
NPOの活動実態は特に変わっていないので、収入倍増はリサイクル売上が事業収入と寄付金収入の2重に計上されたのが原因です。また、事業費支出として同額のリサイクル事業費270万円が計上され、収支合わせされています。
会計担当理事に事業費支出の証拠書類(誰が誰に払ったか)の提示を求めたところ、
経理上の操作で請求書や領収書は必要無いとのことでした。
納得できないのでZoomでの対面説明を提案しましたが拒否され、理事長から
税理士の指導で作成したものであるから、素人は口出し無用、且、本件に関するメールは一切禁止とされました、
なお、昨年度の会計では、リサイクル事業収入は0、寄付金収入が230万円となっており、2重計上はありません、また、来年度予算書では今年度と同様に2重計上となっています。また、リサイクル商品の資産計上は無く、理事は全員無給で良く働いています。
上記のような2重計上が妥当な会計かどうかをご教示いただきたくよろしくお願い致します。なお、私は簿記3級を取得し、認定NPO法人の代表と会計を8年間務めました。

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回答内容

A1

回答者:musashi  投稿日:2021.06.10  記事番号:061021104710000004

 NPO法人の会計書類は情報公開制度がありますので、誰でもアクセス可能な状態となっています。
 公開されている昨年度(令和元年度)の会計書類を確認させていただきましたが、活動計算書の次期繰越正味財産額が △99,734円 となっていますが、貸借対照表の正味財産額は2,819,480円 となっています。
 この項目は一致するべきものなのです(私が検索した法人が異なっていれば無視してください)。

 公開されている決算情報を見ると、前年度から「法人の財産の状況を適正に表している会計書類ではなかったもの」と言えます。

 火に油を注ぐつもりはありませんが、前年の決算情報から間違っている可能性が高いので 現時点での法人の財産状況を確認した上で、より正しい決算の情報公開について、理事・監事の方とお話合いをされることをお勧めいたします。

A2

回答者:飯沼一元  投稿日:2021.06.23  記事番号:062321104720000003

 貴サイトから下記の回答があり有難うございました。
NPO法人の会計書類は情報公開制度がありますので、誰でもアクセス可能な状態となっています。
 公開されている昨年度(令和元年度)の会計書類を確認させていただきましたが、活動計算書の次期繰越正味財産額が △99,734円 となっていますが、貸借対照表の正味財産額は2,819,480円 となっています。
 この項目は一致するべきものなのです(私が検索した法人が異なっていれば無視してください)。
 公開されている決算情報を見ると、前年度から「法人の財産の状況を適正に表している会計書類ではなかったもの」と言えます。

上記について確認したところ、
昨年度(令和元年度)の活動計算書の次期繰越正味財産額は △99,734円ではなく、次期繰り越し収支差額および当期正味財産合計として 2,819,480と記載されており、貸借対照表の正味財産額2,819,480円 と合っています。

A3

回答者:musashi  投稿日:2021.06.23  記事番号:062321104730000003

過去の活動計算書と貸借対照表の関係性については 問題ない と理解しました。

 ご質問のリサイクル品の寄付と販売収益との2重計上のことですが、NPO法人会計基準では、実務者のためのQ&Aとして、以下のような事例を示しています。

 アパレルメーカーから型落ちした衣料品の寄付を受け、それをバザーで販売し活動資金を獲得しているNPO法人を想定した場合の受入時の仕訳を示すと以下のようになります。公正な評価額は、売却予定価額の10万円とします。

(借)棚卸資産 100,000 (貸)衣料品受贈益 100,000
 バザーで予定通り10万円で販売した際は以下のような仕訳になります。

(借)現金 100,000 (貸)バザー売上 100,000
(借)バザー売上原価 100,000 (貸)棚卸資産 100,000

http://www.npokaikeikijun.jp/guideline/qa/q24-1/
http://www.npokaikeikijun.jp/guideline/qa/q24-2/

 このような経理を行うと経常収益には、受贈益とバザーの売上の両方が計上されるため、見かけは2倍になります。

 全部売り切れていなければ、棚卸資産は残ることになるのでしょうから、ご質問の活動計算書の内容すべてが正しいわけではないでしょうが、①寄付者に対する現物寄附 ②寄付物品の販売行為、その両方を表した活動計算書を作成すると、見かけの収益は2倍となりますが、それぞれの行為は別なので、2重計上にはならないと考えます。