質問者:ぶたぶた 投稿日:2019.06.04 記事番号:060419103680000002
はじめまして。
任意団体のNPOとして活動しております。
当団体の活動の認知度アップや、新たなサポーター獲得のために、出版やコラボグッズの販売をしてくださる企業を探そうと考えております。
収益が目的ではありませんので、当団体は売上分配金や印税その他の金員をいただかないという形であれば収益事業にならないのではないかと考えていました。
しかし、法人税基本通達15-1-2 (1)によると、公益法人等が収益事業に該当する事業に係る業務の全部又は一部を委託契約に基づいて他の者に行わせている場合は収益事業を自ら行っているとみなされると知りました。
ここから考えると、仮に団体に収益が一切発生しなくとも、以下のように収益事業判定されてしまうと考えるべきなのでしょうか?
(1)出版社を通じて印税ゼロで出版した場合でも、当団体の出版業等を委託しているとみなされる
(2)団体会員各個人や代表個人が執筆し、各個人で印税を受け取る形とした場合でも、当団体から各個人に無体財産権提供業等を委託したとみなされる
(3)当団体から広告料等を支払い(あるいは無償で協力を要請し)コラボ企業が自身のサイトでコラボグッズの製造販売を行う場合、当団体が売上を一切受け取らない場合でも、当団体の物品販売業を委託したとみなされる
それとも、当該通達は、他の収益事業判定と同じように、当団体にまったく収益が発生しない場合はそもそも対象とならないと考えるべきでしょうか。
あまりこの通達を根拠とした判断事例についての文献がインターネット上に多くないため、判断に困っております。
よろしくお願いいたします。
回答者:脇坂誠也 投稿日:2019.06.04 記事番号:060419103690000002
貴団体にまったく収益が発生しない場合は収益事業になりません。
上記通達の趣旨は、法人税法基本通達逐条解説(税務研究会出版局)には、以下のように記載されています。
「課税対象となる収益事業は、「継続して事業場を設けて行われる」ものであることがその要件とされている。すなわち、一般的には、公益法人等が自らが店舗、事務所、工場などを有して、直接収益事業を行っていることが想定されているということである。
ただ、公益法人等が、自らは店舗などを開設しないで、委託契約などに基づいて他の者に収益事業に該当する事業を行わせ、これから歩合をとるという形で実質的に自ら収益事業を行っている事例も少なくない。
もともと収益事業課税は、一般私企業との競合関係の調整や、課税上の公平の維持というところにそのゆえんがあるのであるから、単に公益法人等が自ら表面上の経営者として収益事業行う場合にのみ課税すれば足りるということではないと思われる。
たとえ自らは表面に出ないとしても、実質的に自ら収益事業を行ってていると認められる場合には、これについても実質的に事業所を設けて収益事業を行っているものとして課税することが課税の公平を期するためには不可欠である。
そのような観点から整理されたものである。」
投稿日:2018.01.05