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NPO法人の税務

質問内容

Q福祉サービス就労支援B型事業所と納税義務について

質問者:MH  投稿日:2022.03.12  記事番号:031222105060000006

NPOで主に知的な障がいがある人たちが通う就労継続支援B型の事業所を運営しています。
先月2月に税務調査があり、障がいのある人たちが働いて得たお金で工賃の財源となっている作業会計と、国、県、市から障がいのある通所者の利用状況に応じて入る施設運営のための給付費会計双方が「請負業」にあたる収益事業であり、所得税がかかると言われました。仕事が減るコロナのような状況や、生産に使う機械の破損などに備え、会計基準で一定額は積み立てが認められていますが、税務署の人は税金を払った後積み立てるようにとのことでした。
国税庁が「その障害福祉サービスに従事する者の半数以上が身体障害者等であり、かつそのサービスが身体障害者等の生活の保護に寄与している場合については、収益事業に含まれないものとする」と述べていますが、半数以上の中にB型事業所に通ってきている障がいのある人たちを含めていいでしょうか?その人たちが福祉サービスに従事しているからこそB型事業所が成り立っていると考えます。お教えください。

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回答内容

A1

回答者:岩永清滋  投稿日:2022.03.15  記事番号:031522105080000002

 就労支援B型事業所に対する課税問題につきお答えします。
 税務署は「作業会計」と「給付費会計」の双方がと言っているということなので、その前提で書きます。
 まず「作業会計」が請負業とのことですが、外形的に請負業に当たるか否かはその作業の内容によります。物品販売業や製造業に該当する場合もあるでしょう。たとえば企業の下請けの加工作業などの場合は、請負業と判定される場合もあると考えます。しかしながらご質問者さんが書かれているように、この「作業会計」は大半を障害者が従事しているので当然生活の保護に寄与していると考えられるので、施行令の非課税規定に該当すると思います。この点は強く主張されたら税務署も納得すると考えます。
 一方「給付費会計」の方ですが、私たち@PROは課税対象外、つまり法人税はかからないと考えています。私たちは「福祉サービスに関する法人税課税問題研究報告書」という報告書を公表しています。@PROホームページの下記のものをご参照ください。
https://npoatpro.org/commission.html#point6
この報告書に詳しく書いており、またここで簡単に説明するのも難しいのですが、税法の規定を注意深く読むと就労支援B型事業は税法が特掲するどの収益事業形態にも該当しないので課税対象外であるというのが結論です。
 ただこの「給付費会計」が課税対象外であるということに関しては税務署も「作業会計」ほど簡単に引き下がらない恐れがあります。不服申し立てなどの方法を駆使した徹底的に争うという姿勢が必要になるかもしれません。その場合税の専門家でないと対抗することは困難なので、税理士さんに依頼するという方法もご検討ください。仮に税理士さんが見つかったら、その方に上記の報告書を見せて理論武装されることをお勧めします。
 なお積立金と書いておられますが、おそらく設備等整備積立金のことかと思います。この点に関しては税務署のいうように必要経費とは認められないので、こちらは争わない方がいいでしょう。