質問者:H 投稿日:2023.01.01 記事番号:010123105450000007
私たちのNPOに寄付を考えている企業から、「寄付をしたら、NPOで活動するボランティア向けの広告を出せるか」という問い合わせを受けました。
この際、
1)この企業から広告権を条件にお金を受け取った場合、
A. 受け取ったお金は寄付金として処理できなくなりますか
B. 質問Aの答えが「YES」の場合、受け取ったお金のうち「x円は広告収入で、残りは寄付金」といった処理ができる余地はありますか
C. これ単体で「収益事業」となって、法人税の対象となる場合は考えられますか
2)今後継続的に、複数の支援企業に対して、「自分のNPOで活動するボランティア向けの広告」の権利を付与し見返りにお金を受け取る場合、
A. 受け取ったお金は寄付金として処理できなくなりますか
B. これは「収益事業」にあたりますか
C. このような行為は、「その他の事業」にあたりますか
もし、条件によって回答が変わりうる場合は、例示していただけるとありがたいです。
どうぞよろしくお願いします。
回答者:脇坂誠也 投稿日:2023.01.05 記事番号:010523105460000004
1)ですが、「広告権」とは、貴団体のHPや会報などに企業の広告を載せるということでよろしいでしょうか。
その前提でお答えします。
Aは、通常は、対価性があるとされ、寄付金とはならないと思われます。
寄付をした方をHP上で掲載するというようなことはよくあることなので、お名前をHP上で掲載する程度のものであれば、寄付金とされる余地はあるかと思いますが、「広告権」というくらいですので、そのようなものではなさそうですね。
Bは、例えば、他の企業からも広告協賛を受けていて、広告協賛金としては10万円とされているが、ある企業は同じ取り扱いなのに20万円支払うというような場合に、10万円部分を寄附金とするという可能性はあり得ると思いますが、例えば、その1社からしかもらわない場合に、それを広告代と寄付金に分けるというのは、よほど客観的に分ける理由がないと、不自然な取り扱いとされてしまうのではないでしょうか。
Cについては、具体的な「広告権」の内容がわかりませんが、例えば無償で発行されるNPOの会報に広告を出すようなものは、通常は収益事業にはなりません。
2)についても同様ですが、Cについては、定款に掲げられた特定非営利活動に係る事業の一部と考えられるのであれば、その他の事業としなくてもいいかと思います(ご質問内容からは、それだけを単独の事業と考える必要はないように思います)。
回答者:musashi 投稿日:2023.01.09 記事番号:010923105480000001
ほかの方の投稿がないようなので、返信させていただきます。
1)この企業から広告権を条件にお金を受け取った場合、
A. 受け取ったお金は寄付金として処理できなくなりますか
B. 質問Aの答えが「YES」の場合、受け取ったお金のうち「x円は広告収入で、残りは寄付金」といった処理ができる余地はありますか
C. これ単体で「収益事業」となって、法人税の対象となる場合は考えられますか
→ご質問中の広告権が具体的にどのような内容か不明ですが、例えば雑誌の広告枠(広告するページや大きさによって値段がかわるようなもの)に相当するものが、寄付の条件ということであれば、寄付金(見返りを求めない金銭や資産等の贈与)とはならないと思います。
また、寄付の申し込み時点で、広告枠の価格設定をしていなければ、「x円は広告収入で、残りは寄付金」という考えも出てこないのでは。
さらに、「収益事業ではないか」との質問ですが、広告を請け負うことが、請負業になるという考え方もありますが、法人税法基本通達15-1-6に、「出版物に掲載する広告の引き受け」とあることから、他の収益事業を行っていない場合、単発の広告では収益事業として課税されないとの見解があります。
2)今後継続的に、複数の支援企業に対して、「自分のNPOで活動するボランティア向けの広告」の権利を付与し見返りにお金を受け取る場合、
A. 受け取ったお金は寄付金として処理できなくなりますか
B. これは「収益事業」にあたりますか
C. このような行為は、「その他の事業」にあたりますか
→A 先ほどの回答と同じです。相当の見返りがあれば寄付金ではありません。
→B 規模が大きくなれば、請負業と指摘される可能性が大きくなります。
→C 「その他の事業」かどうかは、質問者(NPO法人)の定款を確認してください。「その他の事業」の記載がなければ、「その他の事業」には該当しません。
以上 参考になれば 幸いです。