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NPO法人の税務

質問内容

Q役付役員と親族、平理事、正会員への人件費について

質問者:いもあん  投稿日:2024.02.07  記事番号:020724106250000003

はじめまして。会計業務初心者の者です。皆様のご質問やご回答、NPO会計基準や書籍を拝読し理解してきた部分と理解できていない所が混在しており、初歩的な質問かと存じますが質問させていただきます。

【背景】
・約1年半前に任意団体からNPO法人化した団体です。
・代表理事、副理事、平理事2名、正会員10名で構成。
・事業内容は、市有林における①森林整備活動/②自然環境教育プログラム(自然を通じて学ぶ場づくり。企業研修の場や、来年度からは行政から中学校の課外授業プログラムの委託事業も請け負うことになりました)/③森の中で行うイベント を行っております。
・活動資金は寄付金やイベントの参加費、正会員含むメンバーの手弁当で持ち出しも時々ありながら、当然人件費や交通費も支給できていませんでした。
・昨年(今年度)企業研修の場として②の自然環境教育事業を行い、企業研修は2社(1DAYのワークショップと2DAYSのワークショップ形式)で単発的に行い、法人に約15万円と約20万円の振込がありました。
・今回、初めて人件費(報酬?給与?)の支払いを考えています。
→支払いの内訳は、1)当日ワークショップの講師を努めた代表理事、副理事の2名と、運営スタッフの平理事1名、正会員1名、代表理事の親族(妻)であり正会員でもあるスタッフ1名。2)事前の会場設営として必要な草刈り2回の人件費として、代表理事、副理事、代表理事の親族(妻)スタッフ1名。金額は講師料3万(外部講師にも3万円以上はお支払いしています)、当日の人件費1万/人、事前会場設営のための草刈り人件費1.5万円/人を考えています。
・活動計算書等はこれまで副理事が提出していましたが、今年から私が引き継ぐことになりました。

【質問】
1)収益事業(法人税について)の観点

自主事業で自然環境教育プログラムを行う場合、技芸教授業に該当しますが限定列挙項目ではないと判断し、非収益事業と考えます。また、来年度からの行政委託事業の場合は請負業に該当しますが、内容がやはり技芸教授業の限定列挙項目ではないため、こちらも非収益事業と考えています。
→この判断であっていますでしょうか?(もちろん、これで良いか税務署へ伺うつもりですが、税理士の先生方の考えをお聞かせ願えませんでしょうか?)
→非収益事業であるならば、法人税は減免申請対象となると理解していますがあっていますでしょうか?

2)役付役員と親族、平理事、正会員への人件費(所得税、源泉徴収)について

①今回の場合、代表理事と副理事に関しては、講師料は報酬になりますし、そもそも役付役員は「給与」は払えず「報酬」になることも承知していますので、草刈り(事業の人件費)だとしても「役員報酬」となると考えています。
→ここで、役員報酬の”定額”の考えが浮かびます。”収益事業”において役員報酬が定額あるいは事前届出を行っていない場合は損金算入できないことは理解しました。
しかし、当方の事業が非収益事業であるならば、定額の考えは考えなくていいということになると思います。
ただ、NPO法の問題で、利益が多く出たときに利益分配に当たることはしてはならないということも理解し納得できるので、そうなると今回のように、単発的な事業での講師料+事業に係る人件費(草刈り作業代)だとしても、例えば「事前届出」を提出した上で(賞与扱いのようにして)「役員報酬」を支払えばよいということでしょうか?
非収益事業の観点から、特に事前届出や定額も考えず、報酬に対しての源泉徴収を行い、税務署へ提出すれば問題ないのでしょうか?

●税法上の問題と、NPO法の問題が絡んだときに、どのように考えればよいのか、両方の接地面を考えるとどのような手続きをすれば正しいのか、判断が難しく悩んでおります。この点の先生方のご意見をうかがえると幸いです。

→次に、役員報酬は1/3までというNPO法上の扱いについて。解釈では「管理費」に当たる役員報酬が1/3まで、ということになっているので、今回のケースでは講師料も草刈りの作業代も「事業」に当たる役員報酬と理解しております。なので、代表理事、副理事に講師料+草刈りの人件費をお支払いできるのではないかと考えていますが、あっていますでしょうか?
また、この場合、活動計算書には事業費の役員報酬に記載するか、事業費の給与手当に記載した上で注記に記載するということで間違いないでしょうか?

②平理事、正会員の人件費について
・平理事は「給与」扱いになると思います。
・正会員の場合、有給ボランティアと言えると思いますが、有給ボランティアについては「給与」としたほうが良いと書いてあるサイトもございました。確かに「1日〇〇お願いします」という指揮性はあると思いますが、当日のスタッフの担当自体の拒否権は与えており、また継続性の問題から見ても労働としての対価として「給与」なのか「報酬」なのかの判断があると思います。
また平理事の場合も定期的な(月1、何時〜何時等)業務は設けておらず、会計業務補佐とワークショップ当日の運営を行ってもらっている状態です。
→そもそもで恐縮ですが、給与である以上「雇用契約」が必要になるはずで、上記のような状態で「雇用」という考えが成立するのかが分かっていません。状況としては交通費も含めた謝金(報酬)に近いと思うのですが、このような場合でも税法上、NPO会計基準としても「給与」とすべきなのでしょうか?それとも、税法上は報酬とし、NPO会計基準の活動計算書では給与とする方が正しいのでしょうか?
もし「給与」とするならば、上記のような状況であっても(単発のワークショップに関する人件費だったとしても)雇用契約を結ばなければならないということになると思いますが、そうすべきということなのでしょうか?

③代表理事の親族(妻)で正会員のスタッフ人件費(所得税、源泉徴収)について
この方の場合は、当日と事前草刈りの人件費をお支払いしたいと考えています。
→ここでは、親族なのでNPO法上「役員報酬」に当たると思いますが、あっていますでしょうか?
→税法上(所得税、源泉徴収)では②の平理事、正会員の方の場合と同じ考え方で良いのでしょうか?
→活動計算書等には、事業費の給与手当に記載し、注記にて役員および親族の欄に記載すればよいということであっていますでしょうか?

●ここでも税法上、NPO法上、労基上の問題が絡まっていると、提出書類と提出先が異なるため、どのように判断すればよいのかが理解できていません。

小規模で活動し、まだまだ自走するにもパワーの足らない団体です。役員や正会員の支えで何とか活動を続けてきました。NPOに関わっていらしゃる皆様は、同じようなお考えをお持ちだと思いますが、私たちも私腹を肥やしたい気持ちは全くありません。
財政状況を考えても役員報酬も、管理に係る役員報酬は当面「なし」でいくつもりです。ですが、(物品等の必要経費の)実費を賄った上で、事業に関する人件費等は少額でも、できるだけお支払いしていきたいと思っています。
人件費については、例えば源泉徴収をしなくてよい日当分の金額をお支払いする方法もあると思いますが、チェーンソー講習などを自費で受けてスタッフとして入ってくれた方には、付随するスキルに応じた人件費もお支払いしていきたいと考え、今回1.5万円/日/人で考えました。
あとは会計業務を行っていく際に必要な手続きや書類の作成の仕方、仕分けの仕方等を含めて、複数のパターンでトライアルしたいと思い、質問させていただきました。

以上、長くなってしまい申し訳ございません。

会計上の問題なのか、労基上の問題なのかによって関係各所が異なることもわかるので、それぞれの所にお伺いを立てたほうがよいことも承知しています。
答えづらい部分もあると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

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回答内容

A1

回答者:musashi  投稿日:2024.02.07  記事番号:020724106270000003

こんなにたくさん質問があると とても答えづらいです。
NPO法の1/3報酬制限と法人税法の役員報酬と労働基準法の使用人の概念と、難しい課題のオンパレードですね。私からは、収益事業課税について、個人的ですが意見を書きます。

〇自主事業で自然環境教育プログラムを行う場合、技芸教授業に該当しますが限定列挙項目ではないと判断し、非収益事業と考えます。

→そのとおりで差し支えないと思います。

〇また、来年度からの行政委託事業の場合は請負業に該当しますが、内容がやはり技芸教授業の限定列挙項目ではないため、こちらも非収益事業と考えています。

→行政からの委託の内容が、技芸教授業の22の技芸以外の技芸(キャンプなどの自然体験や動植物観察など)であれば、一旦は技芸教授業で判定をしていますので、再度請負業として判定しないという法人税法基本通達の考え方から、こちらもお考えのとおりで差し支えないと思います。

A2

回答者:musashi  投稿日:2024.02.07  記事番号:020724106280000003

そして仮に、法人税が収益事業課税の対象外ということであれば、法人税法上の問題(定期定額や事前届)は気にしなくてよいことになります。

A3

回答者:musashi  投稿日:2024.02.16  記事番号:021624106310000005

 また、役員報酬や給料の考え方ですが、最低賃金以上の金額で、拘束した時間数に応じて支払われるのであれば、役員報酬や給料(給与所得)になると思います。
 この場合、本人の給料所得なので所得税の源泉徴収(甲欄、乙欄、丙欄の適用の仕方で所得税が変わります。)が必要になる場合もあり、原則として税務署に「給与支払事務所等の開設届」を提出します。
 そして、役員以外の方のために、労災保険の加入が必要となります。

 参考までに、旅費(旅費日当を含む)を、半日や1日単位で定額を支払っている団体もあります。旅費規定を作り関係のある者全員に同じような取り扱いをしていますが、そうすることで、社会通念上許される範囲内であれば費用の弁償になるので、源泉徴収の問題やNPO法の1/3規定を考えなくて済むというメリットもあります。
 参考にしてください。