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NPO法人の税務

質問内容

QNPO法人からの事業譲渡に伴い、預金も共に譲渡する場合

質問者:監査役受託者  投稿日:2024.02.01  記事番号:020124106220000004

2箇所の市で事業を営んでいたNPO法人(認定NPO、特例認定NPOではない)から、従たる事務所側の事業を一般社団法人に譲渡し、一般社団法人側で継続して同じ事業を営んでいます。

その際に従たる事業所側の設備、建物の賃貸借契約、従業員の雇用契約など一切の事業用資産を譲渡する契約で、NPO法人側でも社員総会議事録などを残しています。

譲渡のための金員などは契約書に明記し、お支払いしましたところですが、従たる事務所側で開設していた銀行口座は引き続き利用されています。

預金口座には相応の金額が入っていたとの事でしたが、
①当該預金をNPO法人から一般社団法人への寄付という形で処理することは可能でしょうか。また寄付の額面が大きかった場合にNPO法人の認証や存続に関わる可能性はありますでしょうか。
②この場合、一般寄付金として処理すると思いますが、損金算入限度額の計算式の「資本金など」は財務諸表のどの数字を用いるのでしょうか。また所得金額はいつの所得金額を用いるのでしょうか。

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回答内容

A1

回答者:岩永  投稿日:2024.02.14  記事番号:021424106300000003

回答が遅れまして申し訳ありません。

ご質問のケースですが、本来は最初の事業用資産の譲渡契約の中に問題の預金も含めておくべきだったと思います。そして預金残高も含めたもので譲渡金額も決定しておくべきだったでしょう。

しかしながらすでに支払いも済んでおり、総会議事録なども作成済みということですから、今さらその事実を変更できない状況かもしれません。

その場合はおっしゃるようにNPO法人から一般社団法人へ寄付するしかないでしょう。寄付を行なうことが直接NPO法人の認証などに影響がでることはありません。また今回の場合元々従たる事務所で行なっていた事業であり、それは特定非営利活動であったと推定されますから、NPO法人に禁止されている利益の分配とみなされるようなおそれはないと考えます。

寄附金損金算入限度額の話ですが、これは元々NPO法人が収益事業を行なっており、その収益事業の中から寄附金を行なった場合のことに限定されます。今回の預金が法人税の収益事業課税の対象とならないものであるならば関係はないことになります。

仮にそうでないケースの場合はおっしゃるように一般寄附金となりますが、NPO法人には資本金などはないので、次の計算式が限度額になります。
〔所得の金額×100分の1.25〕=〔損金算入限度額〕

この所得とはNPO法人の全体の財務諸表ではなく、収益事業申告に添付する収益事業損益計算書をもととした金額になります。時点は一般社団法人がその預金を使い出した年度になります。

ご参考にしてください。